ここでは私がカウンター鮨を食べるようになってはじめて気づいたことや人々のカウンター鮨に対しての固定概念があまりに偏ったものであると感じたことを順次発表していくとする。
握りを食べる時「ネタを下にする」行為は全く意味がない
はい、昔よく動画出して言われてましたね。
鮨屋で握りを食べる時に「ネタを下にして食べるのが大人なんだよ」「マナーを知らないな」とか。
これね、気になって色んなお鮨屋さんの大将に聞いてみました。
結果から言うと「好きなように食べてください」ですって。
そもそもお鮨ってネタとシャリとのマッチングなわけですよ。
咀嚼して2~3回噛んで唾液と混ざることによってネタの甘味だったりシャリの酢加減だったり感じるわけです。
なので咀嚼する前にネタを下にして口にいれたからって「旨味は変わらない」というのがお鮨屋さんの見解です。
確かに握りを食べると噛んで唾液と混ざってはじめてフワッと鼻の奥に風味が通る感覚がある。
最初のアプローチが舌につくかだけで旨味ってわかるの?というかどんだけ繊細な舌の持ち主なんでしょうか?
改めて言います。ネタを下にして食べるは「全く意味のない行為」です。
「ネタを下にして食べるのが大人なんだよ」「マナーを知らないな」とか言ってる人は「むしろお前だよ」と言ってやりたいくらいですね。
話は変わるけど口に入れた瞬間に「美味い」とか言う人。
あれ嘘。
咀嚼して唾液と混ざってはじめて旨味って感じるもので食感の話ならわかります。口入れた瞬間に溶けるとか、柔らかいとか。だけど食感=美味とは限りません。
江戸前鮨の値段が高い理由
よく江戸前鮨と回転寿司を比べて「値段が高い」という人がいます。
これは極めてナンセンス。そもそもネタとシャリとの調和を計算して作られている江戸前鮨と酢飯の上にネタを乗せただけの回転寿司は別物と考えるべきである。
江戸前鮨は一貫一貫シャリに合わせてネタの温度管理をしている。だから切ってからすぐに握らずに少し置いておく。一番いい温度状態になるまで待つわけだ。
それを一貫一貫やっています。
鮪は特に顕著で温度によって味が劇的に変わる。
脂の甘みなんかも全然違う。最適の温度を江戸前職人は熟知しています。
さらにネタにかける手間と時間が圧倒的に違う。時には漬けにしたり、〆たり、煮たり、炙ったり、藁で炊いたり。
回転寿司ではネタが冷たかったり、逆にシャリの温度が高かかったりする。
それも仕方がない。そもそもそういった工程はかなりの手間だしそれが江戸前鮨の付加価値なのだ。
だから江戸前鮨が高いのは技術料でもあるのだ。
さらに言えば一級品を使っているのでネタの仕入れ値。
築地には全国から魚が集まってくる。
仲買との信頼関係を構築しなければ当然いいネタは回ってこない。
こういったステップを踏んではじめて江戸前鮨があるのだ。
それからもう一つ。
「カウンター鮨は基本的にコースである。」
客がむやみやたらに頼むというよりは大将が食べてほしい順番があってその通りにでてくる。
つまみがあって握りへ。
握りは白身からいって、マグロは赤身、中トロ、大トロ、小肌でサッパリにしてから鯵や赤貝なんかいってから車海老、穴子で最後は卵焼きでフィニッシュといったように一つの流れがある。まるでクラシックだ。
そういった流れは客がいかに鮨を美味しく食べられるかを考えながら出している。
こういった工程もカウンター鮨ならではだ。
「回転寿司と比べて高い」というのはそもそも江戸前鮨というものをまるで理解していない証拠である。
というか高いと批判する人は大抵食べたことがない人がほとんどだ。
一体何をもって高いのか?
食べたことないから知らないのはわかる。
私もカウンター鮨にいくまで何も知らなかった。
だが知らずに批判するのは害悪でしかない。
一度、実際に食べてから自分自身で判断してほしい。
考えが変わるから。