「進撃の巨人」の新刊が出たので読んだ感想を。
巻が進めば進むほど話は複雑になっていってるし出てくる横文字が多いから頭に入ってこなかったり、前巻が出てから随分経ってるしややこしさMaxな漫画だけど読んだら読んだでやっぱり面白いと思える漫画「進撃の巨人」。
簡単に言えばいま現在、この漫画の主人公エレンがいる「エルディア島」 vs 「マーレ」という構造。
戦争ですよ。
「敵は巨人」とかいう次元じゃなく、結局人対人の話だったわけですわ。
おさらいしとくと前巻は確か敵国マーレに潜んでいたエレンが単独行動で巨人になって暴れまわり味方のエルディアに拘束されるまでだった。エレンの目的がいまいちよくわからないままこの巻ではその周りの人の動きも含めて細かめに描かれている。
大きなバトルシーンもなく淡々と政治的な話がメインとなる巻。
というか相変わらず進みが遅い。遅すぎる。
全然話が進まないのは売れてる漫画特有の流れなのか。
とりあえずその感想を。
勧善懲悪という単純でないテーマ性
この話、簡単に言えば「戦争」。
最近の巻になってようやく明確になってきた。
当初は人間 vs 巨人という構造だったはずがいつしか「巨人はもともと人間だった」なんて設定になってて気づけば戦争の話になっていた。
ここで作者の諌山氏は「エレン達は正義で、巨人は悪」という初期設定を抜本的に変えた。
今度は巨人達たち(マーレ)目線で描くことにより彼らをただの「悪」とはせずに、攻めてくるエレン達が加害者という視点で描いてみせた。
これはなかなかやるじゃねぇかと読んでて感心したものだ。
この巻で印象的なシーンがある。
敵国(エルディア)で逃げ回ってるガビとファルコ(以下男の子と女の子と呼ぶ)
彼らは徹底的に「この国が悪だ」という教育を受けてきた。
長い間自分たちの国を蹂躙してきたという歴史だ。(あれ?なんだかお隣の国とかぶるな)
そんな時、敵国の女の人に助けられる。
その人は2人が敵国から来たという事を知っていながら。
その人は敵国(2人の国)の巨人に自分の母親を殺された過去をもつ。
そして2人に問い詰める。
「何で私のお母さんは生きたまま食べられないとけなかったのか?お母さんが何をしたのか?」
女の子は言う。「長い間この国の人達が私達の国を苦しめてきたからよ」
その人「けれど私のお母さんは何もしていない。なんで苦しんで死なないといけなかったの?」
女の子はその人の問いに答えることができない。
そう、まるでこの現実の世界でもある出来事の様じゃないか。
何が正義で何が悪か?という非常に深いテーマ性を読者にこれでとかというほど見せつける。
最初からこの設定を思いついて書いてたのだとしたら凄い才能である。
そしてこの二転三転する設定こそが進撃の巨人が飽きられない理由の一つだろう。
かと言って「完璧」というわけでもなく突っ込みどころは満載。
絵の下手さは言い出したらきりが無いので割愛する。
私がこの巻で抱いた違和感は度々出てくる「関西弁」だ。
最初に弁明しておくと私は別に関西弁に対して差別はない。
だけどこの進撃の巨人の世界で関西弁を話すキャラクターがいることに違和感を隠せない。
そもそも設定は日本でもないし。
例えば「シュレック」の吹き替えをダウンタウンの浜田がやってたけどあれは物凄い違和感だった。
これって東京人の目線だからなのかな?
関西の人は案外違和感がないのかな?
ぶっ飛びまくってる進撃の巨人の世界で西洋人の様な顔をしたキャラクターがいきなり関西弁を話していることが何だか違和感しかなかった(そもそも日本語話してるのもおかしな話だけど)。
最後にエレンは檻から脱走し何かを始めるところでこの巻は終了。
すっかり変わってしまったエレン。
(しかもちょっとイケメンになってるし)
次巻以降また大きな展開が予想される。
いわばこの巻は大きな展開の前の準備運動の巻といったところか。
いまから次巻が楽しみで仕方がない。