今年から「全国のカウンター鮨をまわる」という前代未聞の企画をスタートさせた。
地方のカウンター鮨も探すと色々あってその土地ならではのネタや東京の鮨屋との違いなどをみていこうと思う。
記念すべき第一回目として神奈川県ナンバーワンの呼び声が高い「なか條」へ行くことにした。
「いきなり近場だな」というツッコミはなしで。
ここは「豊洲で一番の食材を仕入れる店」ということで期待が高まる。
予約は一ヶ月前。
まず電話で予算を聞かれる。予算に応じて出すネタを変えてくれる様だ。
豊洲で最高のネタを堪能するためどうせなら「三万で」とお願いする。
撮影は料理のみならOKとのこと。
横浜という立地から比較的予約は取りやすいようだ。
(東京だと何ヶ月待ちとかざらだから)
場所は横浜の関内駅下車徒歩3分ほど。地下鉄ならもっと近い。
裏路地にあり目立たないが店構えは立派。
6時到着でカウンターは1組。
時間的にまだ早いみたいだ。
まずはビールで喉の乾きを潤す。
鮑
ムチムチで噛めば噛むほど旨味を感じる。
あぁ、これずっと噛んでいたい…
ハタ
高級魚のハタで。塩とスダチでいただく。
全くクセがなく鼻から甘い香りが抜ける。たまらん。
カンヌキ
サヨリの大きいものを「カンヌキ」と呼ぶ。
お値段もドンと跳ね上がる。
サヨリよりもコクがあって味がしっかりしている。
イクラ醤油漬け
「ねっとりとして濃厚」
便利な表現だけどこれしかない。
松葉ガニもめちゃめちゃ甘みが強い。
これは日本酒が飲みたくなる…
ブドウエビ
見た目がブドウの様な色をしていることから「ブドウエビ」と呼ばれている。
頭のからあげはパリパリと。そして香ばしさと海老の香りがハンパじゃなくまさにこれぞ「大人のカッパえびせん」。
海老自体もプリプリで蟹とまた違った甘さが素晴らしい。
小柱
小ぶりながらも噛めば噛むほど貝の旨味が感じられる。
鰤
脂がものすごくまわっていて口内でみるみる溶けていく。
思わずニンマリ。
あん肝と白子
白子はドロっと濃く舌の上でとろける。
「濃厚」とはまさにこのこと。
あん肝の甘味もすごい。
シラカワの柚庵焼き
正式名称は「白甘鯛」。超高級魚。
咀嚼していくと共に上品な甘みが上がってくる。ホロホロとしてアッサリながらも味わい深い。
長崎県「福田」
鰆
燻してありカラシ醤油につけていただくとフワッと鰆の甘みを感じられる。
ガリは甘み、酸味、辛味共にバランスがよいもの。とても美味しくてガリが進む。
ここまででもなかなかのつまみの量。
ここからは握りに。
ちなみに「シャリ少な目」はやってないそうだ。ちゃんと最高の鮨を腹一杯食べて欲しいという想いを感じた。
握り一発目はスミイカの小さいやつ。
サクッと歯が入りその柔らかさに驚かされる。
当然烏賊の甘みも感じる。
シャリはネタによって米酢と赤酢を変えている様だ。
春子鯛
酢で締めておぼろで寝かせてある。
身はとても柔らかい。
春子鯛こそ各店で色が出るのかな。
漬物
箸休め。
シラカワ
先ほども柚庵焼きでいただいたが今度は握りで。
クセもなく身も締まっている。
金目鯛
千葉県天津港外房産。
金目の上品な甘味がなんとも心地いい。
鯖
三陸産。脂ものっており旨味も凄い。
赤身
京都舞鶴の定置網。
大将曰く大間の鮪よりも京都の舞鶴のものの方が美味いそうだ。
しかも定置網でとった鮪しか使わないというこだわりっぷり。
大間とのネタ比べなんてしてないけどとても決め細くいい鮪だということが一瞬でわかるくらい。
中トロ
こちらも香りも強く脂の甘みも凄い。
舞鶴の鮪恐るべし…
大トロ
ひたすら口内で上質な鮪が溶け出す。
今まで食べてきた鮪の中でも間違いなくトップレベルに入る。
小肌
米酢に変わった。
小肌でスッキリ。
馬糞雲丹
北海道浜中産の馬糞雲丹。
トロっとした舌触りにもの凄い甘味が押し寄せる。
車海老
甘い。これまで食べてきた車海老の中でも抜群に甘さが強い。
海老本来の香りも鼻から抜ける。
身も大きくプリプリの弾力共に最高。
ハマグリ
みずみずしくプリプリ。
ずっと噛み締めていたい。
口内で一瞬にして溶けた。
本当にクリームか何かかと思った。
こんなに溶ける穴子ははじめてだ。
玉子焼き
芝海老入りでふわっふわ。
ほんのり甘味もあってお茶が合う。
1人だったので滞在時間は一時間半。
大将は強面だが気さくで接客もとても丁寧。
日本酒1合でお会計約35,000円となかなかのものだがこのレベルの鮨を食べることができたと考えると決して高いとは思わない。
豊洲で仕入れているので東京の鮨屋との大きな差別化はなかなか難しいがやはりネタが一流という点が大きい。
それだけでなく大将の繊細な握りによってさらに昇華している。
横浜でもの凄い店に出逢ってしまった。
ごちそうさまでした!