「鮨 さかい」の予約は7月に入ってすぐにした。
3ヶ月先の10月の予約を取る。
そしたら7/9にミシュラン三つ星と発表。
なんなんだ今年は。「こま田」の時も、「睦月」の時もそうだったが予約した途端ミシュランを獲得していく。
11時5分福岡空港到着。
空港から地下鉄で最寄りの中洲川端駅まで10分。
空港から博多まで電車で5分という驚異的なアクセスは福岡の便利な所だ。
店には12時ちょい前に到着。
すでに店が開くのをみんな待っている。
12時ちょうどに開店。
なんと靴を脱いであがる造り。
リラックスして欲しいという思いがあるようだ。
堺大悟大将が登場し改まってご挨拶される。
空気作りがうまい。
もうこの時点でもってかれてる。
ちなみに堺大将は東京外苑にある「海味」出身。
海味の中村龍次郎大将は堺大将の後輩にあたる。
まずは福岡県「田中六十五」
銀杏
熊本玉名の銀杏でほんのりビターな味わい。
煮蛸
志賀島の煮蛸。
かなり柔らかく口内でほぐれるほど。
柚子の香りも爽やか。
毛蟹
北海道噴火湾の毛蟹。
蟹味噌と和えて土佐酢のジュレと共に。
ジュレの少し強めの酸がさらに蟹の上品な甘みを引き立てる。
虎河豚
もっとも人気があるおつまみだそうだ。
福岡の虎河豚と島根のあん肝で作った肝ポン酢。
口いっぱいにあん肝のマイルドな味わいが広がる。虎河豚と肝ポン酢の相性も抜群。
ワカメ
お掃除用のワカメ。
余った肝ポン酢につけて。
プチッという食感ではなくグニャっと。
皮が柔らかい証拠。
あまり味は染み込ませず卵の味を堪能。
まるで上質な卵黄の様だ。
鮑
唐津の鮑を蒸したもの。山葵と塩でいただく。
特に香りが良い。
あん肝と鮑の肝
北海道余市のあん肝を炊いて裏ごししたものと先ほどの鮑の肝。
あん肝はきめ細かさと嫌味のない甘みが特徴。
酒と少しづついただく。
肝はチーズの様で臭みも一切ない。
ボタン海老と赤雲丹
北海道の増毛町のボタン海老を漬けてサンタバーバラの赤雲丹を叩いてかけたもの。
サンタバーバラの赤雲丹はこれからハイシーズンになるようだ。
ねっとりと甘みの強いボタンと赤雲丹は間違いない組み合わせ。
最後残った雲丹にシャリを入れてくれた。
シャリは赤酢ですね。
雲丹との相性がいい。
甘鯛の味噌焼き
福岡の甘鯛を味噌焼きにしたもの。
上品な香りで特に皮の部分が焼き加減といい脂がたまらない。
松茸の土瓶蒸し
岩手の松茸を昆布出汁で締めたもの。
とにかく香りが凄く出汁がよく出ている。
栃木県「鳳凰美田」
辛味、酸味が強く甘みは控えめ。
平目
対馬の2.2キロ。一日寝かせたもの。
程よく脱水され甘みが残る。
シャリは赤酢が二種類と塩。
出身の「海味」よりも酸と塩は強めで輪郭がはっきりとしたもの。
昆布締め。身質柔らかく上品な香り、シャリの酸もいい。
後半から甘みが広がる。
鰆
この日のナンバー1で衝撃的な一貫。
対馬の7.7キロの鰆を一週間寝かせて平漬けにしたもの。
しっとりなめら。
香りも強くあまみ完璧。
ここまで香りが強い鰆ははじめてかも。
酢飯との絡みも完璧でネタが口内で溶けた後はシャリの旨味が残る。
小肌
天草の小肌で二枚付。
皮は少し硬め。まだ脂はそこまでのっていないのであえて水分は少し残してある。
鮪はやま幸
赤身
平漬け。香りがとても強く旨味も強い。
ねっとりとなめらかで噛めば噛むほど最後の盛り上がりをみせる。
中トロ
血合いぎし近いのにここまで脂がまわっているのは珍しいらしい。
甘み、香り共に素晴らしく余韻がとても長い。
まさに理想的な鮪。
大トロ
筋もストレスなくとろけていく。
あっという間に口内で溶けその余韻でシャリを楽しむ。
鯖
本日のお気に入り二貫目。
対馬の鯖。しっとり赤身系で余韻は鮪に似てる。
みっちりとした身質で噛めば噛むほど旨味と香りが増す。
脂推しでなく噛むほどに味がでるのがいい。
シャリも負けてない。
車海老
地物の車海老。
熱々を提供する為、握る直前に一つづつお弟子さんが素早く殻をむいて大将にサーブ。
チームプレーがないとできない。
プリプリっと心地よい弾力。
赤酢とのシャリとの相性もいい。
べったら漬け
口直しに。柚子の香りがついてる。
宮城県「日高見」
キタムラサキウニ
ねっちりとして甘みも強くシャリの酸が際立つ。
味噌汁
塩分は控えめで出汁を強調したもの。
ボタン海老の出汁がとてもいい。
溶け具合もハンパじゃなく圧倒的な食べ応えと旨味でノックアウト。
ネギトロ巻き
あえてネギをザックリとカットすることでシャキシャキっとした食感と香りを堪能。
ネギトロってネギを細かく切るのが定番だと思ってた。
干瓢巻き
甘くなくて自分好み。
玉子焼き
芝エビと大和芋の江戸前の玉子焼き。
中心にいくにつれやわらかく、海老の風味もいい。
コースは以上で一通り。
お会計は35,800円。
つまみは非常に満足度が高く素材の特性を活かし足し算になりすぎない、やりすぎないのが好印象。
握りも形が綺麗である程度しっかり目に握られている。
食べた後の余韻も長いのが驚きだ。
それに堺大将の料理の説明も非常に巧み。
普段カウンター鮨を食べ慣れていない人にもちゃんと理解しやすい味の変化、香りの流れをさりげなく説明される。
そしてそこに嫌味はない。
本気で大将はネタに自信を持っているのが伝わる。
そしてお客さんみんなに声をかけしかもそれが絶妙な距離感。
来た人は全員いい印象なんじゃないかな。
ただ美味い鮨を握るだけでなくこう言ったホスピタリティの部分もミシュラン三つ星の評価に繋がっているのかな。
これまで三つ星は「鮨 さいとう」「こま田」と三軒目だがどの店も共通しているのがこのホスピタリティ。
料理が美味いのはもはや当たり前の話でプラスαの部分って実はかなり大事でこれを出すのは店側のセンスも多分にあるのかも。
素晴らしい食事と経験をした。
ごちそうさまでした!