東京の鮨屋をまわってるとよく聞く金額の批判。
「東京価格」
「東京だから高い。」
この言葉をよく耳にする。
どうしても実情をご存じない方は「東京だから高い」と決めつけその理由をすぐに土地代と結びつけたがる。
なぜなんだろうか?
東京は土地代が高いから?
一般的に飲食店では経費は3〜5割が人件費、家賃は1〜2割だ。
1〜2割の家賃代をガッツリのっけるのか?
確かにお店が払う固定費は高いことは高い。
だけど1ヶ月に一体何人の客がくるのだろうか?
とあるお店では一日MAX13人のお客がくる。
週の一日休みとして1週間でMAX78人。
1ヶ月でMAX312人。
さすがにそれを一人の客に何千円ものっけたりはしない。
東京には物凄い数の鮨屋がある。
そんなことをしていればあっという間に他店に客を取られてしまうからだ。
そりゃ客からしたら安いにこしたことないし客もバカではない。
普段から鮨屋に行き慣れてる人であれば大体の相場というものを知っている。
「このネタでこの値段も取るの?」
客はすぐに気がつく。
今の時代それはSNSであっという間に広まってしまう。
奇しくも悪い噂ほどすぐまわる。
だから下手に多めに土地代なんて乗っけてボろうものならすぐバレる。
そして客は来なくなるのが実情。
ただし「全くのっけてないの?」と言われるとそれはおまかせコースの中にある程度は上乗せはしているでしょう。
ただそれは地方のお店も同じ事が言えるのではないだろうか?
お店のコースの金額はそれぞれ大将の考え方で変わってくる。
だから一概にこうだとは言えないのは事実である。
だけど一概にこうだとは言えないにも関わらず「東京だから高い」と一括りにして言い切ってしまうのは私から言わせればただの偏見である。
そして都内のお店と同じネタを揃えるなら地方も同じだけ高くつく。
地方へ行って鮨を食べてお金を払ってる私が断言する。
ポイントは豊洲や他の市場を通さないとネタが揃わない店同士という事がこの話の条件ではあるが。
地方の方が安い理由は地物が提供できるからという点が非常に大きい。
地物で揃えられないネタはどうしても他から買わざるを得ない。
地物でほぼネタが揃う地域は物理的に安く提供できるがそうでない地域、揃ったとしてもさらに高品質のものを出したいというお店はそうはいかない。
他から買うとどうしても金額は跳ね上がるのは厳然たる事実である。
高い安いどちらが良い悪いの話はしていない。
高いには高い理由があるし安いには安い理由が存在する。
ここで何が言いたいのかと言うと繰り返すが「東京だから高い」は勝手なイメージと偏見だと言うこと。
人間ってどうしても一度インプットしたイメージってなかなか覆がらないものである。
そしてそのイメージを否定する者が現れると何故か全力で否定にかかる。
こちらがいくら事実ベースで話をしてもやたらと頑なだったりするので尚のことタチが悪い。
確固たるエビデンスもないのに否定しうる根拠は?
あとは意地になって自分の意見を誇示し続けるだけ。
そういう人は真実から目を背けてるだけである。
勝手なイメージと偏見で店を批判してしまう事はなんてつまらないことなんだと「東京だから高い」論を繰り広げてる人の話を聞くと毎回思う次第である。