2003年/日本映画/138分
いまや一大観光地と化した東京・お台場で連続殺人事件が発生。青島(織田裕二)ら湾岸署の面々は、警視庁から赴いた沖田仁美(真矢みき)の指揮下に入り、捜査を進めることになるが、所轄を手駒としか扱わない彼女のやり方に署員は反発するが…。
書斎の棚のDVDを整理してたら踊る大捜査線が出てきた。劇場版の2作目だ。
もう何年前になるだろうか。
公開が2003年だから18年前か。
ドラマシリーズは中学生の頃にハマって映画館に足を運んだ記憶がある。
そのDVDを手に取った瞬間なんだかノスタルジックな感情が湧き起こりちょっと観てみるかとプレイヤーにディスクをセットした。
このドラマが当時画期的だった理由はすでに語り尽くされているのでここではこの映画の感想に終始したいと思う。
感想というか…
当時まだ幼い私が観たときには特に何も思わなかったがいま観ると正直ツッコミどころしかない。
まず本店の捜査員の為の弁当業者を決めるくだり。
署長と副署長が全ての業者から賄賂を受け取るシーンがあるがこれでは完全なる談合じゃないか。
ここまで堂々と警察による談合シーンが盛り込まれてるとは驚いた。いまコンプラ的にアウトだよね?
しかもこの署長、劇場版一作目では青島の領収書を破く様に副署長に指示をしたり、本作では署内で不倫までしてるもはや小悪党である。
シリーズ通してろくに仕事してる所もみたことがなくただ単にふざけに職場に来てるだけとしか思えない。
そのくせ自分の事は棚にあげ、青島のことはダメダメ君呼ばわり。
こうなると相当タチの悪い老害である。
もはや事件は現場でなく署内で起きているのではないだろうか。
主人公の青島俊作に至ってはテレビシリーズでは「事件に大きいも小さいもない」という風に人が困っていたら助けてあげるという真っ直ぐな部分に好感が持てたが本作では「これは俺の事件じゃない」や「もっとシャキッとした事件ないんスか!?」などの発言からも完全に初心を忘れ事件を選り好みする様になってきている。
彼の信念は一体どこでどうねじ曲がってしまったのだろうか?
青島の同僚である恩田すみれが原宿のキャビアの店に行きたいって言ってたけどあれは明治神宮の日本唯一のキャビア専門レストラン「ベルーガ」のことかな?
それはそうと、銃で撃たれ「あんなに男の人に強く抱きしめられたのはじめて」と言うシーンがあるがすみれさんって、もしやバージン?と思った人は私だけではないはず。
特殊捜査部隊SATに任せておけばいいものをなぜ青島が「俺がリーダーだ、お前らついて来い」的な感じで先頭つっ走ってるのか?
最後の犯人が車で逃走してるのになぜ青島は走って追いかけてるのか?
車に勝てるとでも思ってるのか?
警察に追われてるのになぜ犯人達はわざわざ車から出て悠長に青島と会話するのか?
本当に逃げる気あるの?
最後の最後にSATが出て来なかったら犯人達は完全に街に逃げていたと思うとかなり投げやりな脚本ではないだろうか?
もはやただの鬼ごっこ劇になってしまっている。
最後に吸血鬼の岡村隆史の犯行の動機が全くスルーされている。
性欲を満たすでもなくただ若い女の首を噛むだけって明らかに取ってつけた様なキャラクターではないだろうか。
メモをして観たわけではないがザッと思い出してもこれだけ出てくるから細かく観ていけばさらにツッコミどころはありそうだ。
いや、何もこの穴が悪いとは言っておりません。
昔の映画やドラマだって穴だらけだしそれを気にならなくする程の役者の演技や物語の勢いがあればOKだと三池崇史監督と同じ考えであります。
本広監督はハリウッド映画を観まくってて日本でそれっぽい映画を作りたかったんでしょうね。その気概は感じられるしわかりやすくテンポもいいからヒットしたのも理解できます。
なんにせよいかりや長介がこの作品以降観られなくなると思うとこの後の踊る大捜査線シリーズってまた別物なんだよね。
改めて彼の存在のデカさを思い知ったのであります。