2005年/日本映画/128分
03年の劇場版第2作「踊る大捜査線2 レインボーブリッジを封鎖せよ」で、警視庁初の交渉人となった真下正義警視。その1年後、地下鉄の実験車両が何者かに乗っ取られて地下鉄網を暴走するという事件が勃発。この事件を引き起こした犯人は、交渉の窓口に真下を指名する。
踊る大捜査線のスピンオフ作品で交渉人となった真下正義と犯人によるクローズドな空間での知能戦劇。
「交渉人」というとケビン・スペイシーとサミュエル・L・ジャクソンの映画があってそれには当然劣るが邦画にしてはなかなか健闘したと思う。
本広監督って毎回大風呂敷広げるだけ広げて大作っぽく作るのは得意なんだけど結局穴だらけなイメージ。
前回の劇場版2作目のレビューで少々の穴はいいと述べたが本作の最大の穴は犯人の正体が最後まで分からないということ。
これはダメでしょう…。
特に今回の犯人って普通の人が知らない脇線の存在も知ってたり爆弾作れて遠隔操作までできたり絶対にこんなんできるの一般人じゃないでしょ。
真下のコンサートホールの座席のシートまで知ってるって何で?
そんなに凄いやつの犯人の正体が最後までわかりませんって物語としては完全に未完です。
これではあまりにも雑すぎます。
せっかく最後の盛り上がりまでいい感じだったのにこれではモヤモヤしか残らない。
最後のがなければ正直いって踊る大捜査線より面白くなる要素満載なのに。
クリスマスにテロと言えば「ダイハード」。
本広監督のことだからオープニングの東京の街並み写すところとか意識してるよね?
映像が車の中の爆弾まで低空で移動するとこなんか「ファイトクラブ」まんまな気がする。
今回初登場なのに強烈なインパクトを残したのが寺島進演じる木島丈一郎。
登場シーンの「メリークリスマスだ馬鹿野郎」から強めのキャラで出てくるんだけど見た目は古いチンピラ。
かなりオラオラだけど少し褒められると嬉しさのあまりニヤついたり、ガラは悪いが仕事に熱かったり、意外と後輩から慕われてたり結構魅力的なキャラクターである。
話が進めば進むほどどんどん木島丈一郎というキャラクターが活き活きとしてくる。
この映画が「踊る大捜査線」のスピンオフなのにさらに本作のスピンオフとして「逃亡者 木島丈一郎」が作られた辺り人気の高さが伺える。
ちなみに「逃亡者 木島丈一郎」は本作の少し前という設定でラストのシーンが本作の「メリークリスマスだ馬鹿野郎」に繋がっている。
このセンスはやっぱり当時のフジテレビのドラマ陣って優秀だったんだなと思わせてくれる。
あといま観ると結構いろんな人が出てたりします。
いまでこそ人気俳優となったムロツヨシがCICチームにいたり(キャラはいつものまんま)、「孤独のグルメ」の松重豊が爆弾処理作業をしたり、指揮者に西村雅彦(一言も喋らない)、どの作品もいつも同じ感じのお婆ちゃん役の八千草薫だったり。
にしても水野美紀はグッと色気増したな。
しかしせっかくの交渉人が主人公なのに真下の交渉人としての実力が正直よくわからないまま終わった感じがする。
ずっと相手のペースだったしもう一つ、真下すげぇなみたいなシーンがあった方がよかったではないだろうか。
同じ交渉人の映画なら断然先ほど述べたアメリカ映画の「交渉人」の方をお薦めしたい。
これぞネゴシエーター。ケビン・スペイシーとにかくカッコいいです。
展開も見事。これ観てから本作観ちゃうとやっぱり日本映画の限界みたいなものがみれちゃうんだよな・・・
みだ観てない方は是非!超名作です。