1992年/ドラマ/268分
黒板五郎は富良野で寂しい一人暮らし。螢が旭川の看護学校を卒業して地元の病院に勤める日だけを心待ちにしている。そんな父の想いをよそに帯広で恋人の勇次とデートを重ね、将来の進路に悩む螢。一方、東京のガソリンスタンドで働く純はふとしたことからタマ子と知り合い…。
本作から前後編の二部作に分かれ物語の尺も伸び、グッとドラマ性が強くなる。
大人になるとそれだけ描ける物語が増すというものだ。
だけど倉本聰さんよ、やっぱりあなたは黒板家に対して容赦ないくらいドSです。
この後も黒板家はさらに困難ばかりなのだから…
本作で蛍は五郎の期待をよそに富良野に帰らず札幌の病院へ勤める事になるし、純はセフレとの間に子供ができてしまうし、五郎は雪かきしてる最中に屋根から落ちて死にかけるし、全く、お祓いでもしてもらった方がいいのではないだろうか。
五郎は当初のテレビシリーズからだいぶ変わった。純と蛍が出て行ってしまい孤独でそうなってしまったのだろうか。
ボロ小屋で犬を飼いアキナと名付け、ひたすら話しかける姿は「キャストアウェイ」のトム・ハンクスを彷彿とさせる。
昔から口が悪い草太兄ちゃんが今回結婚をすることになったんだけどこの回では彼のデリカシーの無さにさらに磨きがかかってる。
「こんなブスだけど貰うことにした。
人助け、種づけは済んだ。」
妊娠してる嫁の前でこんなデリカシーのないことをサラッという。
さらに昔惚れてた雪子さんが現れると嫁さんの前で「俺が昔惚れてた女!あっさりフラれた」と悪気もなく発するからこの男は恐ろしい。
そんな草太兄ちゃんの嫁さんは妊娠5ヶ月という安定期に入るか入らないか絶妙なタイミングで結婚式に出席し、新婦の登場でトラクターに乗せたことが原因で流産してしまう。
いくら妊娠が嬉しかったからといって草太兄ちゃん、もうちょい色々考えようよ。
そしてこの回からだんだん私は蛍にイラついてくる。
どうやら男にハマったら周りが見えなくなるタイプの女の様だ。
「もしも私が札幌にいったらゆうちゃんも必ず札幌に就職する?」とメンヘラ的な発言を彼氏に言い放つ蛍。
「必ず」て…。怖いんすけど。苦手だわ。
富良野を毎日通り過ぎるくせに全然実家に寄らないし冷たすぎるだろ。
正直、蛍のパートはイラつく事が多い。
この後もずっと男関係で悩む事になるんだけど母親の血を譲り受けてるのか?
純は今回ようやく童貞卒業を果たすが相手はれいちゃんではなくピザ屋でバイトしてるタマ子という子でセフレ化。
「愛してないのに会うことを望んだ」というセリフが妙に生々しい。
しかし「タマ子」といい、「チンタ」といい出てくる人物たちのネーミングが…まぁいいか。
子供をおろさせてお詫びにカボチャを持ってくる五郎。
精一杯の償いがカボチャって…
直前に純に言う五郎。
「とりあえず謝ればなんとかなる」
ってあんた軽く考えすぎだろ!と五郎に説教したい。
誠意って何かね?
今回手放しで賞賛できない理由
唯一今回ちょっと嫌な気分になった部分が妊娠検査薬のくだり。
久々に小学校時代の友達と飲む事になって妊娠検査薬の話になったときに妊娠してると「残念な色になる」というセリフで盛り上がるシーン。
そしてタマ子が妊娠してるとわかると「残念な色になった」という純のナレーション。
遊び相手なので妊娠してほしくないというのはわかるが「妊娠が残念」という表現はいかんよ。
今だったら物凄いクレームの嵐だろう。
それから「東京は卒業した」というセリフ。
これもうーん。言いたいことはわからんでもないけど別に東京は卒業するものではないし、東京都民は一生卒業してないって事になるのかな?ミーハーな自分の気持ちから卒業したという意味だとは思うんだけどなんか東京人からすると少し引っかかる。
思えば倉本聰さんは少し考え方が説教くさくはあってそれが脚本にもちょいちょい反映されている。
「お前ら若いもんにできるか?お前らなら諦めてとっくに死んでる」という棟梁のセリフもなぜ若い者はすぐに諦めるものと決めつけるのか。
五郎が助かったのって火起こしなど割とテクニカルな部分が大きいと思うんだけど。
そういう術を身につけてなかったら諦めてる年寄りもたくさんいるでしょう。
まぁ何点か気になる部分はあるもののやっぱりいい作品である事に変わりはない。
今回そんなに泣かす部分はなかったけど回想シーンとさだまさしの歌でちょくちょく涙腺を刺激された。もうこれは洗脳というべきか。
北の国からの回想シーン✖️さだまさしという組合せはもはや鉄板要素である。