奇しくも浅草の「すしや通り」にはいまや鮨屋がほぼ残っていない。
そんな中、今回は「浅草 寿司清」へ。
場所は雷門から徒歩5分ほど。
創業は1891年。
ここすしや通りで最も古い歴史をもつ鮨屋だが2年前にリニューアル。
ドアをあけると階段があり2階にあがると明るいカウンターと元気な大将がお出迎え。
現在の大将は四代目。いい意味で勢いがあって脂が乗ってます。
以下、いただいた料理。
白子・蕪・セリ
まず一品目は温かなトロミのある「銀あん」から。
トロンとした白子に蕪の摺流しが優しく寄り添い胃袋にそっと染み込んでいくよう。そこにセリの香りと柑橘の爽やかさがなんともいいアクセント。
平目
下田のオリジナルの塩で軽く脱水したもの。
平目本来の味が濃い。
鯛
明石でなく垂水の刺し網漁でとった鯛。
こちらも塩で脱水してもっちりと。
蛸
大根で叩く昔ながらの江戸前の仕事。
ある程度柔らかく、蛸の食感も残しつつ、香りよく味もしっかりと。
特に頭はとても柔らかくプリプリ。
つぶ貝
函館から新幹線でやってきたらしい。
甘みよりも旨味。
5日間干した穴子。
脂がのってていい穴子なんだけど塩で食べると少々疲れそうなところ、レモンで食わせてくれるのが嬉しい。酸と脂がとてもマッチしてます。
虎河豚
厚めにカットし咀嚼回数を増やす狙い。
後半徐々にじんわり旨味を感じるようになる。あぁ、河豚屋いかなくてもいまは鮨屋で食える幸せ。
塩抜きして出汁で味付け。
シャリっと、ポリポリっと歯応え強め。
クエ
澤井スペシャル。
赤酢と塩のみで炊き上げたシャリの温度は人肌で後に残る酢飯の綺麗な余韻が印象的。
米は新潟の「はえぬき」。
粒が大きいとこだけを選り抜きされたものを羽釜で炊く。
シャリとネタとのサイズのバランスは良く、持ち崩れのないしっかりめな握りだが口中での解けも良い。煮切りは煎り酒で割ってるらしく独特な甘味も一役買っている。
一貫食べただけでテンションあがる。
パツッ、スカッ。これぞ墨烏賊!の食感にこれまた酢飯の良さが出てる。
太刀魚
サイズが大きいのかかなり脂がのっててホワトロ。焼き太刀魚の理想系。
縞海老・鬼海老
どちらもたまり醤油漬け。
下に置かれたレモンの風味がなんとも爽やかです。穴子の時もそうだったけど柑橘系の使い方が好き。握りの合間なので大将の手と客の手にレモンの匂いがつかないように下に置いてある。
〆鯖
勝浦。四枚付けにして表面積を増やすことで脂と旨味を感じられるように。〆鯖の酢は淡めだけどシャリの酸と鯖の脂が馴染む。
小肌
身質は柔らかく脂もある。
シャリ含め、酢が綺麗。
小柱
これも酢飯の酸味、特注の丸山海苔の香りが抜群。
春子鯛
かませた朧はほんのり甘く、身質は柔らかさもありジューシー。
血合いぎし
舞鶴の定置網。もう食べただけで舞鶴の定置網味。なんとも気品のある香りに赤身の余韻、脂の甘味と完璧なバランス。
シャリは鮪だけ変えており赤酢は3種類ブレンドしたもの。
明確に花形である鮪を食べさせたいという方向性がハッキリしてる。
背の漬け
神津島の背の漬け。味わいはやや野生的です。
背トロ
同じ神津島の背トロ。シャリの温度は上がり脂は甘く、ワイルドさも相まった。
腹上
函館沖。シャリ、鮪の温度が理想的。
今日一の完璧な握りをいただきました。
砂ずり
気仙沼。スジも味があって噛めば噛む程美味くなっていく。圧巻の鮪5貫でした。
虎河豚の白子
火傷注意の熱々。
旨味が濃く、それ故に海苔の香りも相乗効果。
煮烏賊の印籠詰め
車海老
昆布出汁に季節の野菜などを漬けたもの。
旨味と甘味が良く出てます。
蛤
味噌汁
河豚、クエ、鯛、クロムツ、イサキなどの出汁の味噌汁に揖保乃糸のラーメンが入ったもの。
味はしっかりめ。コースじゃなくこれ単体ならさぞ美味しくいただけただろう。
澤井スペシャル。
玉子焼き
江戸前とだし巻きの2種類。
特に自然薯で作った江戸前はかなり空気を含んでおりそのエアリー感に驚く。
追加: 干瓢巻き
朧と共に。
自家製のプリン
相当濃厚。お土産に持って帰りたいくらい。
全体を通してどのネタを食べても酢飯の旨さが際立つ。
コースは鮪にしっかりと照準をあわせシャリを変える。ちゃんと食べさせたい狙いがハッキリしているようだ。
温度にも相当気を使っておりその仕事も細やか。
ネタには余計なものは足さず、理にかなった包丁の数でネタを傷つけず。
ストレートな鮨の旨さを堪能できた。
お会計は23,000円。鮪こんだけ食べてこの価格とは…破格。
ごちそうさまでした。